【2006年7月17日】
コンピュータによるスピーカー設計と測定の可能性について
コンピュータの非常な性能の向上が、各分野に与えた影響の大きさそして様々な分野にコンピュータ(特にパソコン)の性能の向上が与える影響は今後も大きい。
元々、コンピュータは主に科学研究や設計、解析と言った分野に広く応用されていましたが、最近ではもう各家庭にまで広く普及するようになった。
現在の家庭用のコンピュータの性能は、5万円でディスプレイ付きのエントリークラスのパソコンでもその性能は10年前の数百万〜数千万するエンジニアリング用の高速なコンピュータやスーパーコンピュータクラスの計算能力を持っている。
こう言った、低価格で高性能な家庭用コンピュータ環境でも使える高性能なスピーカー解析システムやスピーカー設計用のシミュレーターシステム(スピーカー設計CADシステム)等が、世界で広く使われて来ている。
右の画像は、praxis(スピーカー測定システム)を利用した測定画面の一例(ツィーターとウーファーの周波数特性及びインピーダンスを測定した物)。
● コンピュータを使った低価格なスピーカー測定システム開発の流れ
元々、コンピュータを使ったスピーカーの測定システムはB&Kや日本の測定機器メーカー等から発売されていますが、これらのシステムはハードと専用のシステムで300万以上するような物です。
大きなメーカーの研究所や開発部門では、さほど高い投資ではないのかも知れませんが、一般の個人や小規模なメーカーには手の出る物ではありませんでした。
そんな中で、一般のパソコンとの組合せで比較的低価格にコンピュータ測定を測定する測定システムが幾つか登場して来ました。
DAASやMLSSA、ATB等の測定環境です。
これらの、測定システムは以前の測定システムに比べて低価格で、35〜75万円程度でシステムを買う事が出来ます。これにコンピュータを組み合わせる事で、測定システムとして利用する事が出来ます。
値段的には、かなり安いシステムになって来ましたが、やはり個人やガレージメーカーが導入するにはちょっと高い価格でしょうか。
*DAASは以前、3Lと言うISAボード(Windows98前後まで利用されていた16ビットのコンピュータ拡張バススロットの規格)を利用したシステムで若干マイク等の配線を自作する事で12万円程度で手に入るシステムを作っていましたが、その後これの後継に当たる低価格なシステムは発売されていないと思います(これを僕も以前使っていました)。
そんな中、アマチュア向けに測定環境を提供していた幾つかの会社から、より低価格な測定システムが発売されます。
特にその中でもCLIOとLaudと言うシステムは人気の測定システムとなります。
CLIOは、イタリアのaudiomaticaがLaudはアメリカのLiberty Instrumentsが開発を行っています。
これらのシステムは、今までのシステムに比べて大分安価にコンピュータ測定システムが構築出来人気の測定環境になりました。
元々CLIOはISAのサウンドカードとの組合せで、LaudはDSPを搭載したサウンドカード専用に作られていました。
CLIOは、その後PCIタイプのサウンドカードに対応したバージョンが開発されましたが、Laudが対応していたサウンドカードは種類が少なく生産が終わると手に入りにくくなってしまいました。
他の測定システムの発売から、Liberty Instrumentsも新しい測定システムの開発を発表しました。
それが、praxisです。
praxisは、Laud等の専用DSPカードが必要だったがpraxisは何とサウンドカードに依存しないで使う事が出来るシステムとして開発が進められる事になりました。
つまり、今まで対応サウンドカードのDSPを利用していた様な処理も全てパソコンのCPUで行うと言う方式に切り替えると言う事です。
この方式のお陰で、その後のPCの非常な高速化によって低価格に非常に高性能な測定システムを構築できるようになりました。
● コンピュータネットワーク設計ソフト
こう言った、測定システムのデータはスピーカーユニットの測定やスピーカーシステムの測定だけではなく非常に重要な要素にネットワークシミュレーションソフトへデータを受け渡す事が出来る事にあります。
これにより、今まで手で計算しなくてはいけなかったネットワークの設計をコンピュータ上でシミュレーターの画像を見ながら設計すると言う事が可能になった訳です。
既に、こう言ったシステムは以前から開発され大きなメーカーの設計部門等には導入されていましたが、高性能で低価格な測定システムと低価格な設計シミュレーションソフトにより、ガレージメーカーや個人でさえもこの環境を導入する事が可能になりました。
現在、ネットワーク設計シミュレーションソフトは数種類あり、比較的低価格な物から何とフリーソフトの物まで存在します。
元々この手の設計シミュレーターとしてはLEAPデザインやCALSOD等が比較的古くから販売されています。
どちらも、現在でも販売が続けられています。
その後、Windows用として比較的低価格なネットワークシミュレータとして登場したのがLspCADです。
LspCADはスタンダード版なら2万円を切る価格で購入する事が出来ます。
他には現在、非常に早いペースで高性能化が進むSoundEasyと言うスピーカー総合シミュレーションソフトと言って良い内容のソフトがあります。
SoundEasyは何と少し前のバージョンから、測定も可能になりマイクとマイクの入出力が可能なサウンドカードを組み合わせる事によって、測定からシミュレーションまで可能になります。
この他にも様々なシミュレーション環境が現在はあり価格も様々です。
こんな中で、何と完全にフリーソフトのネットワーク設計シミュレーターがあります。
最近ではフリーソフトの物でも結構色々な環境に対応した物がありますが、中でもSpeakerWorkshopとGSpeakersフリーソフトでそれぞれ、面白い構成のソフトになっています。
GSpeakersは何とUNIXシステム(及びその互換環境)用のソフトでWindows以外のLinuxやらFreeBSDの環境でも使う事が出来ます(MacOS-X上でも動作する様です)。
SpeakerWorkshopはWindowsで動作するシミュレーターですが、フリーソフトにも関わらず下手な市販ソフトよりも高性能なシミュレーターを内蔵しています。
パッシブのネットワークのシミュレーションに関しては、ほぼ市販のシミュレーターと互角の性能である他に測定機能まで持っています。
これにより、スピーカーユニットのT/Sパラメータの測定から周波数特性、インピーダンス測定、ネットワークのシミュレーションと一般的なスピーカーシステムを作るのに必要な機能が、このフリーソフトだけで手に入ってしまいます。
最初のコラムには、コンピュータがスピーカー製作に与えた影響と言った雰囲気で、スピーカー関係のソフトのざっと紹介を行ってみましたが、今後は個々のソフトに関して、書いて行きたいと思います。
□praxis
http://www.libinst.com/
http://www.ritlab.jp/
□CLIO
http://www.audiomatica.com/
http://www.tachyon.co.jp/~sichoya/clio/clio1.html
□DAAS
http://www.admnet.de/
□ATB
http://www.kirchner-elektronik.de/
□Speaker Workshop
http://www.audua.com/
□LspCAD
http://www.ijdata.com/
□CALSOD
http://www.users.on.net/~audiosoft/
□SoundEasy
http://www.interdomain.net.au/~bodzio/
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